おでん文庫の本棚

大人もこどももみんなで味わう児童文学をご紹介

火山と科学と壊れたパソコンの話

 こんにちは!金曜日が祝日というのはなんだかうれしいですね。朝きちんと起きられるかどうかのドキドキが一日少ないというのが特にうれしいです。

 

 最近このブログを書く度に触れているパソコンの故障の件、尽くす手もなく本体を交換することになりました。直接的な原因は謎で、つい先ほどまではいつも通り使えていたのが、突然電源が入らなくなくなるという症状だったため、電源が入らないのでは中にあったデータを救い出すこともできず、修理に出して一週間程が経過したのち、中身はまっさらで、デスクトップにはごみ箱に捨てるデータさえ無い、きれいな状態になって戻ってきました。

 

 強制的なデータの断捨離が今はいっそ清々しいのですが、物と違って、割れた茶碗、枯れた植物、擦り切れた靴下といった、手元に残るものが在りもせず無になるというのは、涙も出ないような虚しさがあります。

 

 簡単にゼロになるものといえば、SNSの投稿などでは、書いたことに間違いがあれば簡単に消すことができますし、アカウントの削除も自分の気持ち一つで行えます。スマホの中の写真もごみ箱に放り込めば、あっけなくサヨナラです。思いのままに扱えることを便利に捉えていましたが、自分の意志と関係なくゼロになる可能性がいつでも待ち構えているとも言えます。そういえば昔、カセットゲームで遊んでいた頃には、ある日突然セーブデータが消えて一からやり直し…なんてこともたまにありました。懐かしい苦い思い出…。

 

 こうなってくると、デジタル上のものに関しては、ものとしては残らないけれど、目に見えないようなこと、例えば経験、人との関わりの育み、情報収集など、そうした価値を自分の中にプラスしていきたくなりますね。いやもう、するしかない。

 

 加えて、最近読んだ本である『火山はすごい 千年ぶりの「大地変動の時代」』鎌田 浩毅 著 からも、考えることがありました。

 

 読書のきっかけは現在おでん文庫の本棚に置いているこちらの絵本。

 

 『火山はめざめる』

 はぎわら ふぐ 作 早川 由紀夫 監修

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火山の活動がわかる絵本 - おでん文庫の本棚


 この絵本で取り上げている浅間山は、群馬と長野にまたがる活火山で、活火山とは「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」のことを指します。日本で初めて火山の観測所が設置されたのもこの浅間山であり、その火山活動の記録がこの絵本の中で描かれています。紀元前となるとはるか遠い出来事としていくらかあっさりと受け止めるところがありますが、江戸時代頃になってくると、急に身近に感じられてきます。最近起こった阿蘇山の噴火なども記憶にまだ新しく、日本の活火山が現在111あるというのも知り、その多さにも驚きます。

 

 絵本の中では、テレビのニュースで見たことのある上空から撮影したもくもくと上がる煙と(絵本の表紙のような煙)、違う迫力を見せる煙がありました。鱗のように細かいふくらみがいくつも重なって大きな壁となって立ち上がる煙が、普段みたこともないような迫力を帯びており、目に焼き付いていました。

 

 そうして図書館に置いてあった本をぱらぱらとめくっていたときに現れた写真が、その忘れられないうろこがたくさんの煙で、絵本は実際にその通りだったのだと知ることができたのが『火山はすごい 千年ぶりの「大地変動の時代」』でした。

 

 この時点でもうすでにこの本を読んでみたくなっていましたが、専門的な本となると、初心者でも解読できるかどうかが気になるところで、書き出しを読んでみると、するすると読みやすい。作者が火山に目覚めたことから飽くなき探求心と情熱を注いできたというその熱量が、火山初心者にも飛び火するような内容で、誰にでも理解できて伝わる内容であることを大事とする姿勢で、富士山や阿蘇山も含めていくつかの日本の山を例に、火山にまつわる用語や、過去の事例、避難に関する情報などを網羅した充実の内容です。

 

 火山を詳しく調べていくには科学の分野に入り込むことなってくるので、どうしても人によっては得手不得手な感情が湧いてくる気がするのですが、自分はなんとか、理解しようと今頑張っています。学生時代は、科学はあまり興味を持てませんでした。元素など目に見えないものが捉えようがなくよくわからないという…理由です。ただ、火山のマグマの温度によって石の色が白くなる、だとか、空気中とはいえ、風がなく二酸化炭素がおおい空間が出来上がりそこにいると息ができない…など、初心者でもわかりやすい説明によってなんとか想像が働くので、とても親切でありがたい本だと感じています。

 

 さてこれがどうして最初の方の話につながるのかというと、自分にとって科学は目に見えないもの、捉えどころのないものと漠然と感じていたが、それはデジタルの世界も同様で、実のところよくわかっていないのではということ。

 

 漠然と活火山は噴火する恐れがあるので怖い、と思っているだけでは、活火山が日本111もあると聞いたら倒れてしまいそうですが、活火山の定義が1万年以内に活動がある山という期間を聞くと少し心境が楽になるように、生活に関わってくるものに対して、ちょっとでも知識をつけておくことは悪いことじゃないように思います。

 

 デジタルも同様に、道具として使っているはずが、さまざまな大事な部分を任せっきりになり、頼った末にすべてがゼロになり、と、危険を分かった気でいたようで、分かっていませんでした。最近は、電車の乗り換えや地図情報も完全にデジタルツールに頼りきりで、そういう頼れるところにすべて任せきりでいいのか、ちょっと立ち止まりながら考えて聞きたいと思います。

 

 本紹介がなんだか戒めのような記事になってしまいました。おでん本棚の本棚に、火山の本に関連してもう一冊、紹介したい本があるので、次回はその本について書くか、雑記をはさむかどちらかでいこうと思います。また次回もどうぞよろしくお願いします。

 

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