こんにちは!急ですが、手作りっていいですよね。絵を描くのも楽しいのですが、手を動かして作るという行為自体が楽しいと思っているところがあります。ご飯を作るのも自分にとっては日々の楽しみです。ご飯を作る時間を作るのは大変ですが、毎日何かを作ってる実感に気持ちが支えられている気がします。
さてさて本日紹介をするのは、ハンガリーの刺繍の本です。
『ハンガリーのかわいい刺しゅう』
チャルカ(CHARKHA) 著
こちらの本はこぶたのレーズンの生まれ故郷となるハンガリーに関連しておでん文庫の棚に置いています。
ハンガリーで生まれた、かわいいこぶたの物語 - おでん文庫の本棚
こぶたのレーズンというのはこちらの緑色をしたこぶたのことです(ありがたいこと現在は二冊とも人の手に渡り完売となっています)。
今年はおでん本棚に置く本を児童文学の範囲に留めず、例えば児童文学が誕生した国がどんなところなのだろうと興味を広げたときに、手に取りやすそうな本を置いています。私自身が一冊の本を読んでそこから派生して次に手を伸ばした本、尚且つ途中で投げ出さずに読み終えた本、がちょっとずつ線で繋がり広がっていったその途上ともいえそうです。
同じ作者の別の著作を読むことは自然と行えるのですが、一冊の本から次に繋げていく読み方は、自分の場合根気と熱意がいる(読みたい本がとっ散らかっている上に気分屋のため)ので、周辺情報を知るために読もうと思っても、歴史関係は国同士の関係性や時代の背景が掴めずにだいぶ苦労しています。本棚にシリア関連の本を置いていますが、情勢や歴史など一度本で読みましたが、おさらいが必要です…。
ハンガリーについても、民話に関する講座を受けたことがありましたが、テンションの上がるきっかけをつかみ損ねてしまったことを今更ながら反省しています。興味が湧く瞬間は確かにあり、しかし点で得た情報を立体的に広げて想像できるほど、他に使える手札を持っていませんでした。
そんなだからこそ、なにか自分の好きなことと関連付けて本を読めるのはラッキーなことだと思います。今回は紹介する刺繍の本がハンガリーの入り口となってくれています。
実際の刺繍、いつか見てみたいものです。余談ですが刺繍でいうと最近、親戚のおばさんからミモザなどの春を感じる刺繍をしたポーチをもらいました。手芸が上手なことは前から聞いており、編み物でつくった小物をもらったことはありましたが刺繍は初めてで、しかもこれまで刺繍で見知ってきたものと違う、生命力のようなエネルギーが自分にぶつかってくるような感じがあり、作った人が見えてくるいい刺繍だなあと思ったのでした。
ハンガリーでは人の営みと刺繍は共にあり、古くから縫い継がれてきたものです。昔は誰かに想いを伝える手段としても使われていた刺繍、そんないじらしさが現代ではまばゆく映るかもしれません。
と、なんだか知った風に書いていますが、刺繍の柄に込められた意味をこの本を読んでいた当時は、あまり気にかけていませんでした。目で楽しむのが第一で、文章にはあまり目を向けていませんでした。大柄な花と鳥の取り合わせ、鮮やかな配色、そうした記号的なものの見方をして、知ろうとしていました。
しかし、いろいろな本を読むうちに、ヨーロッパやアフリカなど大陸が繋がっている国の歴史を知っていくと、ひとつの民族が国境によって無理やり分断されていることや、他国からの侵略で母国語が衰退もしくは混ざり合って変化していくことがあったのを知り、国民性という自分にとって分かりやすい括りで外側を見ようとしていたのを、国境線をにじませて、土地柄という目線で見ようとする流れに自然となってきました。
日本でも土地柄の名産品があると思います。パッと思いつくのは小千谷縮や芭蕉布など着物の生地の種類なのですが、そうした土地柄のものは、他では作られない貴重な存在でありそこに魅力があります。これをうっかり希少価値=値段が高いと、ついお金に価値を置き換えてそれで知ることを終わらせたり、先程話したようなうっかり見たものを記号化⇒アーカイブ化しようとして、そのものが土地で生まれた背景や人の生活どのように関わってきたのか、そうした暮らしに関わる部分を抜け落としてしまったのを、今にして考え方を改めるようになってきました。
こうした考えの変化をネタバレすると最近読んでいる本の『民藝の機微 美の生まれるところ』の影響も多です(それを言ってしまうと、この記事で知るという言葉を連発するのが、あまりいただけないのですが…)。
いろいろな経緯を辿り今になって思うと、今回紹介する刺繍の本は、ハンガリーの地域毎に発展した刺繍の特徴を紹介しており、そうした紹介とともに見る刺繍は、その地域への思いも膨らむように思います。刺繍の図案も掲載されていますので、縫うのが好きな方も楽しめる様になっています。もしくはハンガリーに興味がある!とズバリぴったりな方がいらっしゃったら本をお手に取ってみていただけたら嬉しいです。
ではでは次回もどうぞよろしくお願いします。
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