おでん文庫の本棚

大人もこどももみんなで味わう児童文学をご紹介

イギリス生まれの『おめでたこぶた』と『ナーサリー・ライム』の関係

 こんにちは!突然に夏日がやってきましたこの数日。指がしめっとして本のぺージもしなっとするのを、注意して避けなければなりません。これからの季節特有の悩みです。電子書籍の良いところのひとつは紙がしなる心配がないところかもしれません。

 

 それでは今回の記事も、おでん文庫の今月の本棚テーマ『おめでたこぶた』を読んで考えていたことを書いていこうと思います。

 

↓本棚については下記記事よりご覧ください。

an-tyk-book.hateblo.jp

 

 この本はイギリスの作家、アリソン・アトリーが書いた物語を、すがはら ひろくにさん訳・やまわき ゆりこさん絵でお届けしています。タイトルに”おめでた”という言葉を使用した意図については、全4巻のうちの2巻目にて書かれています。原題には"おめでた"を含むような言葉は使われておらず、例えば過去にも翻訳された本のタイトルは『サム・ピッグだいかつやく』『サム・ピッグおおそうどう』といった、キャラクターの名前とエピソードといった書かれ方で、こちらの方が原題に沿っているといえます。原題そのままを生かすことを良しとする場合もあるかもしれませんが、考えてひねり出された”おめでた”の言葉に惹かれた自分にとっては、訳者の思いをぜひ知ってほしいと思うところです。

 

 さて、作者がイギリスであれば、物語の舞台もイギリスでみられる田舎の素朴な暮らしが見えてきます。田園風景と書かれていたらイギリスだと反応してしまうですが、そんな風にして、ちょっと不思議な、魔法といえるようなできごと、というのもイギリスと結びつけて考えてしまうろころがあります。

 

 メアリー・ポピンズが空を飛んでやってきたり、ハリー・ポッターが杖をかざしてエクスペスト・パトローナムと呪文を唱えたり、プーさんの住む100エーカーの森やピーター・パンと冒険するネバーランド…現実と魔法の世界が溶け合っているような物語をイギリス的な作品と思ってました。

 

 なので、『おめでたこぶた』でも妖精や竜の登場や風のいたずらなど、魔法がかった部分を含めて紹介する予定だったのですが、魔法というものが、なんだかずばぬけした特別感がありすぎて、この言葉でくくるのが合っているのか悩んでいました。

 

 そうしたときに、それぞれの本の巻末にある補足に、”昔話”と”わらべうた”の紹介がされていることに気が付いて、そうだそうだと、気が付きました。

 

 わらべうたといえば、言葉のリズムが自然と心地よくて、口ずさみながら手を動かしたりして、子どもの頃に気が付いたら知っていたというような曲があるかと思います。自分は小学校のときに「はないちもんめ」を歌って、よく友だちのとりあいっこをしていました。

 

 イギリスのわらべうたというとナーサリー・ライムで、たまごが壁から落ちたり、サムという名前のキャラクターがたくさん出てきたり(断片的すぎる…違ったらすみません!)、ぶたが空を飛んだり、猫がバイオリンを弾いたり、その突拍子もない状況が面白おかしく印象に残っています。

 

 ぽーんと空想の世界に飛んでいくわらべうた、もとい、ナーサリー・ライム。長くに渡って子どもたちの心に残り続けてきた物語を、この『おめでたこぶた』の中にちりばめていることが、訳者の巻末の補足で伝わってくるのですが、それを知らなかったら、イギリスの魔法の誕生は、作者のずば抜けた空想力のたまものだと思い続けたかもしれません。

 

 アリソン・アトリーは、ナーサリー・ライムを想像力の種にして、イギリスの舞台に空想の花をたくさん咲かせてるように見えてきます。『ドラえもん』の次から次へと登場する秘密道具のように、アリソン・アトリーはたくさんの物語を残していることに驚くのですが、『ドラえもん』の道具も、アリソン・アトリーの想像力の種も、私の個人的な考えだと、物語をつくるための筋道を考えようとしていたらこうしたアイデアは出てこないのではないかと思うのです。こんなものがあったら面白いな、こんなことしたらどうなるだろうみたいな、ことが常に頭に浮かんでいそうな気がするのです。自分は目的のために道を作ろうとするくせに全然気が乗らないことがあったりするのですが、この人たちはあそこに面白い場所があるから、そこに向かって道を作ろうとする人に見えます。

 

 例えば、そうして撒かれた想像力の種が想像力豊かな物語を生み出しているのだとしたら、アリソン・アトリーが紡いだ物語に隠されたナーサリー・ライムの影響力というのは知らずに読んだ人の中に養分となっている可能性があるのではないかと思います。

 

 これまでイギリスの児童文学について、魔法の世界が広がっていると漠然と考えていたのですが、昔から語り継がれてきた物語の重要性について気が付いてみると、この『おめでたこぶた』は、大人も楽しめる巻末によって、イギリスの物語の魅力を考えるきっかけのひとつになると思います。

 

 イギリスの児童文学、改めてたくさん読んでみたくなってきました。『おめでたこぶた』で紹介されていたヒナギク野のマーティン・ピピンを借りてみると、これは続編なのでしょうか。『リンゴ畑のマーティン・ピピンの存在に後から気が付きました。うっかりです。そんなところで、それでは次回もどうぞよろしくお願いします!

 

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