おでん文庫の本棚

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アリソン・アトリーの物語のしっぽを掴みたい

 こんにちは!今週は大好きなカレーを食べて心が満たされています。3日連続カレーどんと来いです。学生時代はつめたいお米にあったかいカレーをかけて食べるとお米が甘く感じて好きでした。今は胃があたたかいものを求めるようになったため、あれは若いときの食べ方だったのかと思ったりしています。

 

 さて最近のブログ記事は、おでん文庫に置いている本を一冊ずつ紹介というかたちをとっていますが、今月のテーマ本は1タイトルのシリーズものなので、『おめでたこぶた』シリーズを1冊ずつ紹介というよりも、読んで考えつくことをつらつら書こうと思います。(というのも、まだ何を書くのか決めていないのです。行き当たりばったりです)

 

 『おめでたこぶた』シリーズを書いたイリギスの作家、アリソン・アトリーの本をみなさんは読んだことがあるでしょうか。私は『グレイ・ラビットのおはなし』が最初でした。アリソン・アトリーのことを調べると100編以上の本当にたくさんの物語を執筆していたことが分かるのですが、そのときは、服を着たうさぎが洗濯物を干している表紙の絵に心が引かれて本を手に取ったのでした。親切でお世話焼きなうさぎのグレイ・ラビットと、野うさぎのヘア、リスのスキレルの3匹が登場する、豊かな自然を舞台にした物語です。正直に話すと、このときは物語を読み終えてもピンと来ていませんでした。自然風景を美しい思う瞬間が心に残っているのですが、物語のどこに掴む場所あるのか分からない。アスレチックにたくさん縄がぶら下がっていて、それを掴んでどんどん先に進むはずが、どれを掴めばいいのか分からなくて立往生してしまうような状態です。

 

 どうしてピンと来ないのか、気になると頭の片隅から離れなくなります。それから後に『おめでたこぶた』に出会い、読んでみるとこちらは面白いと感じます。なぜだろうか。そこからアリソン・アトリーの本をいくつか読んで、先日の原っぱ探検も一応取り入れて、考えたことがありました。

 

 例えで分かりやすいかと思ったのは、ジブリの作品です。本でなくてすみません。ジブリのアニメで素晴らしいと思うところは、それこそ十人十色と言っていいくらい、いろんな受け止め方があると思う中で、日常風景の中の動作をしっかりと描いているところは、どれくらい人の心に印象を与えているでしょうか。

 

 『耳をすませば』で雫がカロリーメイトを食べる仕草や、『トトロ』でさつきがお弁当を作っている仕草などなど、この端的なシーンに何か意味を見出そうとするのは難しいように思うのですが、物語全体の中にそうした日常の仕草があることで、物語の土台がしっかりと支えられているはずなのです。

 

 例えば『桃太郎』を読んでいて突拍子に感じる瞬間、無かったでしょうか。おじいさんは、桃をどうやって家に持ってかえたのか、桃をパッカーンと割るにしてもどうやって包丁を当てたのか、きび団子は旅の道中で日持ちしたのか…など気にすると、むしろ意地が悪い読み方とも言えそうです。昔から伝わってきた物語はまた別のよい読み方があるとして、ジブリに話を戻します。

 

 意外にもそうした何気ない仕草というのは記憶に残ります。『天空の城ラピュタ』でシータがパンの目玉焼きをはむはむ食べる仕草など、食パンに乗せる具材の話の中で話題に上がることもあるくらいで、多分意見を言い合ったら人それぞれに思い浮かぶ仕草がきっとあると思います。

 

 これが、アリソン・アトリーが描く『グレイ・ラビット』で印象に残った風景描写と繋がるのではないかと思いました。アリソン・アトリーはのどかな自然風景の中での暮らしについて、丹念に書き綴っているのです。私は単に、その風景描写に心を動かされていなかったのです。なぜかといえば、物語の筋を読むことの方に気をとられていたからです。『グレイ・ラビット』の物語の筋が無いと言うのではなく、物語とそれを支える風景描写の土台の両方に目配りできた方が、より読書の楽しみが増すのです。はい、実際に『グレイ・ラビット』を読み直しました。以前よりもゆっくりと味わって読書できました。

 

 それに『おめでたこぶた』の訳者のあとがきを読み、そこからアリソン・アトリーが伝え残していきたいと意志を持っているものについて、すこしでも理解したいという気持ちもあって、原っぱ探検をしてみました。他にも読みたい本がいくつか出てきましたので、これから読んでいきたいと思っています。

 

 原っぱ探検というのも、『おめでたこぶた』の1巻目で何気なしに登場する植物の数を数えたら39あったのです(数え間違えてたらすみません!ひとまず30以上はありました)。そんなに植物を意識してみていたか、どうなのだか。余談ですが、ニワトコの木は『ハリー・ポッター』の魔法の杖を思い出してああイギリスとなりました。

 

 幼少期から自然の中で暮らしていたアリソン・アトリーだからこそ描ける惜しみない風景描写を感じながら、その自然の魅力というものが、自分の身近にある整えられた公園や並木道で知るものとまたちょっと違うのだろうなと頭で思っても、実際は何が違うかほとんど分かっていません。偶然にも最近、荒れ放題の原っぱ探検や、昆虫の話、畑の絵本を読んで、自然というものを毛の先っちょほど感じてきたところです。側にないと分かりようがないという鈍感力を発揮した自分はアリソン・アトリーを難しく感じていましたが、今はもっといろいろ読んでみたいです。そして、アリソン・アトリーがこれから未来に伝えていきたいもの、というものがどうして大切なのかということも考えてみたいです。

 

 それでは次回はもう少し『おめでたこぶた』について触れる…はず。またどうぞよろしくお願いします。

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