こんにちは!頭の中で書きたい言葉が浮かばずに、ブログを書けなかったらどうしようと思うことが度々あるのですが、いつも最後にこの前置きを書く段階になってやっと心が休まります。今日はこのあとの時間はベッドでぬくぬく読書を楽しむとします。
さて本日紹介するのは、夜の学校で起こる奇妙なできごと…ナゾに出会う本です。
『夜の小学校で』
岡田 淳 作・絵
岡田 淳さんの本は、自分は大人になってから友人の紹介で知ったのですが、子どもの頃に読んでいた、という方もいらっしゃるでしょうか。図書館のHPで蔵書を調べると何十冊ものタイトルが表示され、自分が子どもの頃はどこに目を付けていたんだ、と疑いたくなりました。
これだけの冊数があると、出会った本も人それぞれ異なった回答になるかもしれませんね。そんな中で今回紹介する本は、12月の本棚テーマ【ナゾ かいけつ?】になぞらえて選んだ一冊となります。
夜の学校というと、学校の七不思議を筆頭とした怖い話が頭に浮かびます。踊り場の鏡、3番目のトイレ、音楽室のベートーヴェン、日の射す時間は何でもないのに、日が落ちる時間帯から夜に駆けて、にぎやかな子どもの声は消え、長い影を落とす校舎の雰囲気ははっとすると、不気味に映ります。
それでも、夜の小学校という昼間と一変して別の生き物と化した未知の存在は、こうしてタイトルに書かれていると手に取りたくなるくらい、魅力的です。
ところで作者の本でよく気が付くのが、子どもではなく大人が不思議に遭遇するという状況です。子どもが主人公であることは児童書によくあると思いますが、大人が当事者というのは、子どもの頃に読んでいたら、このことをどう感じるのか、何か思うことがあるのか、それとも気にならないのか、気になるところです。
大人の自分が読んだときは、”ありえない”できごとを突き放さずに、ちょっとワクワクしているところがいいなあと感じました。こんなことあるわけない、と想像することを止めたら、そこで終わってしまう。この考えを中断したり、止めたりすることを自分は日常でやりがちです。
明日、プレゼンがうまくいくといいな。でもきっと最終的には中の下くらいの結果に落ち着くだろうな。下の下でなければまあ合格点かな。
と、何かを行うときに、結果の一番上の良い状態と下の悪い状態を想像し、おおよそ、その間で決着がつくことを期待して、それ以上の上を見ようとしない。もしくは見る暇もない、はたまた良い結果を期待しすぎる気持ちを抑え込むなど。あるあるです。
そうしてみると、どうやら自分の考えの範疇に収まっていることが日常、想像するのは本の中の世界と割り切っている節があることに気が付きます。
読書で見聞を広げたり、想像を広げる、みたいな言葉をどこかで聞きかじったことがありますが、想像を広げる、そもそも想像をするって何なのだろうってずっと考えています。
この次に紹介をする『ヒナギク野のマーティン・ピピン』の作者であるエリナー・ファージョンについて、訳者の石井 桃子さんが寄せたあとがきを読んだあとも考えていました。
自分は、物語を書くというのは、頭の中で生み出された想像の世界をかたちにすることで、漠然と出発点は頭の中…と捉えていましたが、様々な本と出会う中で、作者のコメントに、物語を書くにあたり、日常であった出来事を発端に物語が広がる、といった内容が書かれていることがあります。
つまりは、頭の中で物語を想像してかたちにするけれども、それより前に、日常から刺激を得るという道のりがあることになります。
読者が本から想像の世界を広げるのとは逆で、書き手は日常から想像を広げている、というのは実は灯台下暗しで、本の中だからこその不思議な世界なのではなく、日常の中に不思議の種が眠っていると言われているように思えてきます。
そうなってくると、”書き手任せに物語から想像を広げる”という受け身だった考えを、岡田 淳さんの本を読んでいると改めます。大人が不思議の当事者となって、日常から不思議の世界に繋がるように、日常の中にもワクワクするものが潜んでいるということです。大人の世界にも、です。
ではそれなら、ワクワクの種はどうやって探せばいいのだろうかと、また壁にぶつかります。作者の本を読みながら、言葉の起源を追うように、その種を探そうとします。しかし、雲をつかもうとするみたいに何にも掴めない。これは自分の想像力が無いせいなのだろうか…。
今結論を出すことは難しいのですが、これは、ワクワクの種は人それぞれに違うのではないかと思います。想像というものが本当に自由なもので、答えがないからこそ、自分の想像の種を、日常の中からよくよく見つめて、眺めてみることな気がします。
人それぞれというのも、プライベートで絵を描くことをしているのですが、自分が描いた絵が見る人によって違う感じ方をしていることに気が付くことがありました。意図をもって書いているようでいて、誰かの目を通すと、鏡みたいにそれはもう作者と関係ないところで、絵と人の間に関係ができているように思います。
そんな風に、自分の感じたものが必ず人それぞれ持っているはず。作者のことを知ろうとすることも読書の楽しみを深めることになるはずなのですが、想像の世界というのは、自分の感覚を育んでいく、本を通して自分を見つめることの方が大事に思えてきます。私は、大人を主人公とした物語の最後にハッとさせられました。子ども向けでも、大人にも何かを感じさせる、そんなところがある本です。
さて、とうとう次回で今年最後の本紹介となります。ここまでお付き合いを本当にありがとうございます。次回もどうぞよろしくお願いします。
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