こんにちは!友達のおすすめで『モブサイコ100』のアニメを見ていたら、筋肉を付ける努力をしている主人公のモブ君に感化されて今日は久しぶりにジョギングをしました。続けたい…!
本日紹介するのは、今月の本棚でオチオシしたいこちらの絵本です。
『あんちゃんのたんぼ』
梅田 俊作 作
絵も内容も一度読むと心に残る絵本です。絵も文章も作者がひとりで手がけている絵本というのは見かけることがありますが、それってなかなか出来ることではないですよね。
絵が絵本の中の要素として重要であることはもちろんなのですが、ある程度自分で文章を読んで理解や想像を膨らませることができる小学生が読むものとなってくると、人の気持ちの描写などを、文章から読者に伝えることをよくよく念頭に置いた絵本制作となってくるのだと思っています。
例えば言葉の無い絵本があった場合、そこに登場する人物がしている仕草や目線、色使いなど、日常の中で身近な家族や友達との人間関係の中から、あてはまる状況を想像して絵で読むことになりますが、そこに文章が加わる場合、自然とまずは絵よりも言葉に頼る読み方になると思います。言葉で状況を理解して、言葉で考えを整理して、感想を人に言葉で伝えます。
大人の絵本読み聞かせ会に参加した際に、絵をじっくりみるのは久しぶりという言葉を聞いて思うのは大人になるとまずは文章に入っていくように、子どもにとっても、読み物に対して少しずつ文章に関心が移っていくのだと思います。
そうしたときに、この絵本は小学生にとって読みごたえのある文章そして内容であり、さらに抽象的に書かれた絵により情緒を揺さぶる絵本です。
文章も絵も適材適所の力を発揮していて、このバランス力を味わってみてほしいです。
タイトルの『あんちゃんのたんぼ』とある通り、物語の主人公は(おそらく小学生の)弟になります。物語は(おそらく中学生の)兄が、修学旅行費を稼ぐために始めるという田んぼ作りに弟が付き合わされるところから動き出します。
本の発行日をメモし忘れてしまいネットでの調べとなりますが、1982年初版の絵本とあり、少し昔のできごとです。この状況は自分にとっては縁遠くて想像の世界となってしまうのですが、時代が違えども、汲み取れることはあるはずです。
ひとつの切り口として今回の本棚テーマ【おくりもの】に沿ってこの物語について考えてみると、最終的に目的であったお米の収穫という成果物を結果だけで見るのは違うなと思い当たります。もしお米を収穫できなかったら、その間に起こった出来事というのは無意味になるのかというと、そんなことはないと思うのです。
自分はここまで生きている間に、思った通りにものごとが進まないことにイライラしたり、八つ当たりをたくさんしてきています…。目的にたどり着くまでの間に何をしていたのかといったら、大した努力もしてこなかったと思います。誰が見たって応援したいようなところ、ほとんどなかったと思います。
しかし、この物語は目的にたどり着こうと行動する兄のひたむきさに、読者は弟と一緒に心が動かされていきます。
結果といえば、SNSをしているときにたまに思うことがありました。投稿をすることで何か行動が示せている状況に満足したり、はたまた何もしていない状況に不安になったり焦ったりです。今は、目に見えないものの背景を想像するようにしようと思い、そこまで動揺することはなくなったのですが、目に見えるものに気持ちが動かされてしまいやすいことは確かです。
最近、『ガラスの仮面』のマンガをちょっとずつ読んでいるのですが、主人公のマヤは貧乏で親には役者になりたいことを理解されず、苦しい状況の中で役者になることを一筋に目指しています。そうして困難を乗り越えて舞台に立つマヤに自分は心が揺さぶられるのですが、このような日々のできごとを、例えば実際の役者を想像してみれば、舞台のチケットを買ってお芝居を見に来る観客たちはその裏側全てを知っていることはあり得ません。プライベートを知っていたらストーカーといわれるやつです。しかし、ストーカーでさえも、自分のことをすべて知ることはできないだろうと思います。
もしマヤが現実にいたとして、SNSでこの自分の苦労の状況をリアルタイムで投稿していったとき、それを見た人は目に見えるものを受け取ります。さまざなま出来事に対し、見ている側は心が揺さぶられて、時に悲しくなったり、嬉しくなったり。それって、漫画やドラマや本と接したときと同じ感覚な気がします。と、こんなことを書いてしまうのは、自分がSNSをするときに見ている側をすごく意識しているからなのだと思います。
SNSでは見られていることが少なからず意識されます。でも、実際に重要なのは見ている側を意識することではなくて、自分個人の内側なんだと思います。目に見えない部分です。そういうものを自分だけでなく、誰しもが抱えていて、その悩みや結果が目に見えていなくても、見えてるものが全てはないということを、これからもよくよく心に留めておきたいと思っています。
お米つくりを通して兄と弟が過ごした日々がおくりものであって、結果だけじゃない部分を大事にできたらいいなと思います。
ということで、また次回もどうぞよろしくお願いします!
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