おでん文庫の本棚

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友だちの友だちは友だちの絵本/友だちテーマの本を募集

 こんにちは!桜は花吹雪も落ちついて、緑の葉を茂らせはじめましたね。ここ数日ぐずっていた天気も、本日は太陽が白くてまぶしい空をみせています。

 

 さて、入学式や新学期を迎えるこの時期に陽気な絵本はいかがでしょうか。

 

 『ともだちつれて よろしいですか』

 ベアトリス・シェンク・ド・レーニエ 作     ベニ・モントレソール 絵

 

 タイトルの言葉使いが丁寧ではあれ、友だちを家に呼んでいいかと母親に尋ねていた子ども時代が思い出されます。そして質問のあとに母親から返ってくる言葉は大抵”誰と遊ぶの?”でした。これは至って当たり前に返される言葉だと思います。だって、どんな子か分からないまま家に上げるというのはなかなか難しいです。人数も何人か気になります。

 

 そこで悩ましいのが、もし聞いた上で、それを断るという選択肢が頭をよぎってしまった場合です。聞いてしまうと、私の場合は気に掛けることが増えて面倒に感じる理由が増えるだけな気がするのです。なので例えば会社の人のお誘いは、メンバーを詳しく聞く前に参加意思を伝えていました。分からない方が案外面白いかもしれないという自分向けサプライズです。しかし、話が逸れますがこうして書いていると、人にお誘いもそうですが、自分が会いたい人に会いに行くという行動自体がそもそも少ないかもしれません。好きな場所はあるのですが、人となると尻込みしがち。だからこそ、この絵本が好きなのかもしれません。

 

 この絵本は、お城に住む王様とお妃様が、友だちのぼうや(どこの誰かは分からないですが、可愛い蝶ネクタイをつけたふわふわ髪の男の子です)をお茶に招待するところから始まります。そこでぼうやがタイトルの通り、友だちを連れてよろしいか尋ねると、王様とお妃様は友だちの友だちなら大歓迎だと伝えます。

 

 さて、ぼうやお友だちは誰かというと、最初に登場したのはきりんです。首が長くて、テーブルに座ってもカップから顔が遠いこと。王様とお妃様は口には出さないけれど、とまどっている表情がまあまあ隠しきれていません。

 

 この話はこれで終わりません。また別の日に王様とお妃様はぼうやをお城に招待します。そしてまた、同じ問答が繰り返されるのです。王様とお妃様は大歓迎しますが、次に連れてくる友だちもびっくりして、また眉毛が水平かハの字になっています。

 

 しかし、不安な顔とは裏腹に王様とお妃様のお誘いは続きます。ぼうやは顔が広いです。友だちがたくさんいます。いつも違う友だちを連れてきて2人に紹介をして、ぼうやは嬉しそうです。

 

 物語は、ぼうやをお城に招待することから始まり、ぼうやが友だちを連れて王様とお妃様をびっくさせる、というくだりを幾度も繰り返しており、予想外の友だちの登場や行動を追っていくのが回を重ねるほどに楽しみになってきます。繰り返しは、お笑いのコントでもしばしば見られますよね。ツッコミが何回もおんなじことをボケに伝えても、ボケには全く伝わらずに意図と違うことをされて、ツッコむの繰り返し。そのテンポ感がこの絵本はよく出来ていて、絵や色使いの力も大きいと思いますが、とにかく飽きさせません。

 

 そしてもうひとつの魅力が、王様とお妃様のぼうやの友だちなら誰でも大歓迎という姿勢です。これだけ想定外の友だちを次々と目の前にしても、どんな友だちかも聞かずにウェルカムです。子どもでなくても、自分の友だちが受け入れられると嬉しいものなので、その寛容な2人には自然と心が開かれていく、なのでぼうやもチャレンジングな友だちも思い切って連れ行ったのかも、とまで思えてきます。

 

 枠にとらわれずに、大好きな友だちをたくさん連れているぼうやを見ていると、友だちっていいなぁって心から言いたくなります。

 

 同じ作者の絵本を今回を気にいくつか読んでみましたが、対人関係に焦点を当てている物語を描く印象を受けました。下記に紹介する絵本も、人とのつながりに関心がある人にはおすすめです。

 

 『ゆきのプレゼント』

 小さい家に一期一会の人がぎゅうぎゅうに集まってハッピーな時間を過ごす、心温まる物語です。終わり方が

 

 『あなただけのちいさないえ』

 同じ作者でも少しまじめな絵本です。自分の世界と他者の世界がそれぞれにあることを優しく気づかせてくれる絵本です。

 

 ちなみに、南と華堂さんの本棚では『ともだちつれて よろしいですか』の表紙が見えるように置いてあり、というのも色使いが面白いんです。なかなかお目にかからない色使いなので、棚に置けたのが嬉しい一冊です。

 

 次回も引き続き、友だちをテーマにした本を紹介します。今回おでん文庫の本棚に並べた本はかなり厳選しましたが、友だちテーマで探すと選択の幅広いことに気が付きました。友だちと思っているのが物語の中の登場人物というだけでなくて、本自体ということもあると思います。それこそ、出会いの思い出なんかも。

 

 こうして書いていると、友だち本とのさまざまな出会いを周りの人にも聞いてみたくなります。もし、”友だち”で思いつく本でこんなのあります!という方いらっしゃったら、エピソードと一緒に教えて頂けたら嬉しいです。

 

 もしご興味がある方は、TwitterのDMもしくはInstagramのメッセージにてご連絡ください。

 

 読書が好きな人も、たまたま読んだ1冊が友達を連想するものである人も、いろんな立場や考え方の人たちからメッセージをお寄せ頂けたら嬉しいです。ご紹介の本は私も読んでみたいです。

 

<連絡先> ※DMもしくはメッセージの個人宛にて

Twitter @an_tyk

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<内容>

・本のタイトル

・作者名

・出版社

・エピソード(一言でも、長くても。伝えたいことが言い切れる長さで。)

 

<期限>

4月中

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 気まぐれな募集で恐れ入ります…!それでは、また次回もよろしくお願いします。