こんにちは!今年は読書を深めるために、世界史や日本文学を勉強しようと意気込んでおります。とはいえ、どこから手を付けるかと考えると、世界が広すぎる…。興味のある国から少しずつ始めようと思い、今回は、福井 憲彦 編『フランス史 上・下』を手に取りました。机の上のいつも視界に入る位置に置いたので、これでいつでも読める!あとは読むだけだ…!
はてさて、本日紹介するのは、寒い季節に読みたくなる絵本
マーガレット・ワイズ・ブラウン 作 ガース・ウィリアムズ 絵 谷川 俊太郎 訳
『ちっちゃな ほわほわ かぞく(The Little Fur Family)』
です。
タイトルにある「ほわほわ かぞく」というのは、表紙にいる、ほわほわ とうさん、ほわほわ かあさん、ほわほわ こどもの3人です。私は表紙の絵が物語る世界観に惹かれて、この絵本を手に取っていました。まずは表紙に登場している家族について少し触れておこうと思います。
家族の見た目については、こどもはクマに似ていますが、両親については、耳が顔に対して少し小さく、左右の外側に向かってとがっており、猫のエキゾチックショートヘアを思い出しました。それに鼻筋は短め。加えてお父さんについては、鼻筋まわりの毛が少し長くておヒゲをはやしているみたいです。毛色はみんな違っていて、お父さんはまっ黒、お母さんはミルクティー、子どもはこんがり茶色です。
そして、各々がきちんと衣服を身に付けています。コート・帽子・ブーツ、どれをとっても、あたたかそうです。体毛がふわふわしているので、服が無くても十分あたたかそうですが、衣服や履物も、これでもかというくらい、ふわっふわです。絵筆のタッチが細かく極上のふわふわ感、これは柔らかい毛布にくるまったときの気持ちを思い出させます。
家族が何をしているかというと、場所はおそらく家族が住んでいる森の中で、こどもは何かを追いかけるように両手を伸ばして楽しそうに駆けっています。その近くでお父さんとお母さんが丸太に腰を掛けています。そして、目線はしっかりと子どもに注がれています。お父さんとお母さんは腕を組み、とても仲が良いことが伺えます。お母さんが腕に抱えている百合のような白い花も可憐で、幸せな家族関係であることを想像させます。(ちなみに自分は最初、白い花が羽を広げた鳥に見えて、子どもが鳥を追いかけているとも、百合の花ともとれる、だまし絵的な仕掛けがあるなんてと感心しておりました。その後、よく見て花弁があることが判明しました。)
これが、自分の見た表紙となります。少し話がそれますが、なんと海外の原作本では、絵本自体がほわほわの毛にくるまれている仕様もあるようです。それってどういうこと?となると思うのですが、現実ではあまり見たことのない、物語の中に出てきそうな見た目です。テディベアのような毛が、表紙・背表紙・裏表紙に渡り、全面を覆っているのです。こんな面白い仕様があるなんて、絵の表紙も素敵ですが、ふわふわ毛に覆われた絵本で、ふわふわを体感しながら読んでみたいです。
この絵本には、対象年齢がおよそ2才くらいからと書かれており(現時点での出版社のHPではおよそ3才くらいからと記載されています)、ちいさい子向けの絵本となります。なのですが、大人が読んでみると、物語の中で描かれている、親の愛情を受けて、自分の中にある優しい気持ちがちょっと顔を出してくるように思うのです。
親が子どもに愛情を注いでいる姿というのがどんなものか、自分が子どもの頃に自覚していたかというと、そんなに意識したことは無く、尚且つ、そういった仲睦ましい親子を描いた絵本を子ども時代におそらくお目にかかることはありませんでした(そもそも絵本を読む機会が少なかったのですが)。思い当たるとしたら、『クレヨンしんちゃん』が、映画になると家族の力で敵と立ち向かう姿を見て、それに感動したことでしょうか。
『クレヨンしんちゃん』といえば、毎週見ていたTVアニメでは、家族の日常が描かれており、子どものしんちゃんことしんのすけは幼稚園、親のひろしとみさえはそれぞれ家事や仕事だったり、それぞれの生活があり、そこから面白おかしい出来事が起こり、展開されていきます。TVアニメでは日常のドタバタが中心だったのが、それが映画となると一変、異世界から敵がやってきたり、タイムスリップしたりと、ありえない事件が起こります。そんな大事件に対して、TVアニメで描く日常ではそこまで意識に上らない、家族という単位で団結するを姿を強く意識することになり、そこにある家族の絆にほろりとさせられます。
個人的な想像ですが、日常の中では、自分が周りから受け取っているものが当たり前になってしまって、気が付いていないことがあるのかもしれません。私は、休日に遊びに連れていってもらったことや、毎日持たされたお弁当のありがたさは、大人になって気が付きました。
「隣の畑が青く見える」といった言葉があるように、少し離れたところは観察して状況判断するのを、あまり意識せずに行っているクセがありながらも、自分の親しい間柄のこととなると、おそらく気を許しているがために、あまり深く考えなかったり、ちょっとした変化も気に留めていない場合があります。そうした状況を『クレヨンしんちゃん』の映画だったり、今回の絵本など、媒体を介することで自分に近い人たちを客観的に眺めようとする姿勢がやっと出来るような気がしています。
なので、この絵本を大人が読んだとき、親という大人のあたたかいまなざしがあることに、気が付いて、当たり前だった子どもの頃の日常をすこし振り返ってみたくなるような、そんな時間が現れるのではないかと思います。
そして、子どもが読んだ場合、大人のまなざしに気が付くのか、それとも当たり前に受け止めて、もっと違うところに目が向くのでしょうか。どんな読み方をしたとしても、この絵本で愛情というものを、意識していない心の奥の方で感じ取って、育まれていくのではないか。そうだったらいいなと思います。
ちょっと蛇足ですが、この絵本の仕掛けとして、ページの最初と最後の絵が、何度も繰り返して読みたくなるように出来ていて、上手な構成だと思いました。絵本を見かけることがありましたら、気にかけて読んでもらえたら嬉しいです。(人によっては意見が違うかもなので、気になります)
次回紹介する本は、今だ悩み中です。いつも行き当たりばったりですが、またどうぞよろしくお願いします。