こんにちは!前回の記事を書いた後、仏検を受けてきました。
恥ずかしながら、合格点に及ばずでした。
詰め込み勉強ではなく、じっくりとゆっくりとペースを守って勉強していましたが、そもそもコツコツ地道に勉強してこなかったことが大きな原因です。
唯一は、1年前よりも内容を理解していると手ごたえを感じたことが、この先の励みです。
さて、今回こそ、スイスの画家、アロイス・カリジェについて。
この作家は、私が『ハイジ』を読んでから、スイスの牧歌的な風景を探し求めていた時に出会いました。
いきなり絵本で出会ったのではなく、安野光雅さんの本で紹介されていたことがきっかけでした。(安野さんのスイスのスケッチとエッセイの本も素敵です)
カリジェの絵を見た瞬間に、底知れない魅力を感じて、急いで絵本を探したのでした。
いくつか絵本がある中でまずは、『ウルスリのすず』に触れたいと思います。
この絵本は、文をゼリーナ・ヘンツを書き起こし、カリジェが絵を担当しています。
ヘンツの住む、スイスのグアルダ(Guarda)にカリジェが数年かけて通い、この絵本が出来上がったそうです。
これは、少年のウルスリが、町のお祭りで子どもたちが持つ鈴(牛に付けるカラコロ鳴る鈴の様です)で、一番大きいのを持とうと、鈴を探してちょっとした冒険をする物語です。
その物語を支える絵というのが、数年に渡る風景スケッチをしっかりと土台にしていて、スイスの風景やそこに住む人の暮らしを存分に感じることが出来ます。
雪、山々、木の小屋、やぎ、壁絵、工芸、食事、三角帽子、刺繍、などなど、目を向けるものがたくさんあり、スイスに魅了される一冊だと思っています。
絵のタッチは、黒い輪郭線が特に印象的です。
かすれた消え入りそうな線があれば、生き生きと太く力強い線もあり、この変化の強さが独特の持ち味となっています。
自分はその線は、スイスの人だからこそ生まれたのだ思います。
スイスの本を色々読んでいくと、自然の美しさとその厳しさの両面が描かれていて、暮らし向きで言うと、寒い時期は長く、標高は高く傾斜もあり、植物は思うように育たず、生きていくのが厳しい環境です。
『ハイジ』を読んでいるときは、美しい面に惹かれていたのですが、段々と、実際の暮らしの厳しさがいつもすぐそこに迫っていることを感じ、打ちのめされた気持ちになることもありました。
カリジェの絵はそういう風に、綺麗ごとでは片付かない環境から生まれてきたのかもしれない、と思うのです。
国を代表する絵というのは、絵が描きあらわしているものに、その雰囲気までもを含んでいるのだということも、漠然とですが理解したような気がします。
どの国にも共通する、子どもの冒険物語として愛される要素がそこにあるのと同時に、スイスという国を感じる絵本として、おすすめの1冊です。
カリジェの絵本はまだ他にもあるので、次回は別の絵本を取り上げるか、もしくは、壁絵の本が手に入ったので、まとめられたらそのことを書ければと思います。
どうぞよろしくお願いします。