こんにちは!2022年もとうとう最後の12月となりました。
年末と言えばお片付け、気になっているのは、使おうと思って買い溜めた布と毛糸がずっと箱の中で眠っている状況です。
アクリルたわしとランチョンマットと小物を大量生産する年内にしたいです…!
さて、前回の記事で触れた『ウルスリのすず』では、カリジェの絵を通してスイスの暮らしを感じることが出来るとお伝えしたのですが、このときの読書体験について少し書こうと思います。
スイスの本との出会いは、スイスの牧歌的な風景をもっと知りたいと思ったところから始まります。
とはいえ、そのときはスイスの本と言っても当てがありませんでした。
スイスの児童文学をハイジ以外知らなければ、スイスと聞いて出てくるのは、ヤギのミルク、チーズ、白パン(ハイジの影響)と、食いしんぼなものたちなど。知らないことがたくさんです…。
なのでこんなときこそと思い立って、図書館のHPでスイスと検索をしてみると、時計、鉄道、登山、川、植物、銀行、お城、デザイン、文学などなど、出てくる出てくる。
本のタイトルが何ページにも及んで羅列されて、どこから手を付ければいいか戸惑っているときに目にとまったのが『暗号名スイス・アカウント』という謎めいた危ない響きのある一冊でした。
調べると、第二次世界大戦時のスイスの立ち回りを、実話と作り話を巧妙に織り交ぜたお話だそうです。
ともするとどうでしょう。求めていた牧歌的な世界とは180度違うのに、気になって読みたくなってました。さっそく借りて読んでみることにしました。
そうすると、それまでぼんやりしていたスイスの輪郭が少し浮かび上がってきます。
例えば、中立国という言葉が出てきたとき、その印象は独立した国家、他の国と距離感を保っている、偏りがない、といったものでした。
しかし、物語を読むことで、その裏で各国との関係を保つために暗躍する人々の動きがあり、それが決してきれいごとでは済ませられないこともあるのだと知ることになりました。
九州と同じくらいの大きさと言われるスイスが、ドイツやロシア、アメリカと渡り合う姿には、自国を守ろうとする強い意志と行動力を感じられて、それに引き換え自分はどうなんだろうと思うところもありました。
そしてなにより、今までものごとに触れるときに、国自体に焦点を当てて知ろうとすることを意識的にしてこなかったのですが、今回のことで国の風習や文化、歴史、そこに暮らす人々のことをもっと知りたいという気持ちが芽生えました。
そうしたときに出会ったのが
松味利郎『アルプスの谷 壁絵街道』
であり、『ウルスリのすず』です。
『アルプスの谷 壁絵街道』は、壁絵シリーズとしていくつか本が出ていて、この1冊ではドイツ・スイス・オーストリア・イタリアの壁絵が紹介されています。
今は、国境が引かれてどの国に属するかがはっきりと分かれていますが、隣り合う国同士の文化がはっきりと分けれているかと言われるとそれは曖昧に、近隣の土地同士で近い風習となってくる様です。
(スイスの公用語がドイツ・フランス・イタリア・ロマンシュ語とあり、隣り合う国の言語が使われていることからも、想像しやすいです)
本の中にある地図では、壁絵のある町を線でつないで、それが各国をまたいで川のように伸びて広がっています。
3階建て以上はありそうな建物に、おもいきり全面に絵を描くのもあれば、オブジェクトが散りばめられた様なデザイン性の高いものまで。
描かれているものはキリストの物語を描いた荘厳なものから、農民を主人公にした親しみの沸くものなど様々で、オーストリアにはゴールドを散りばめた壁絵があり、ふとグスタフ・クリムトを思い出しました。
そうして、スイスのページにある、灰色の壁に白で装飾が施された家をみて、『ウルスリのすず』に出てくるウルスリの家とデザイン様式が一緒だということに気が付きました。
Google Mapsで地域を調べてみると、『ウルスリのすず』の舞台となった場所の近隣の町が本に掲載されていて、この周辺で同じデザイン様式だということが分かりました。
点と点だった情報が線でつながるということを身をもって体験出来た瞬間でした。
小さいことなのですが、今までの上辺だけの知識でいることと、相手のことを知って、ちょっとだけ歩み寄れた気がしました。
学生の頃に漠然と勉強していたことが今になって大変悔やまれるのですが、今回の様な体験を増やして、視野を広げて、物事をもっと深く楽しみたいと思いました。
図書館のHPで検索したときの本のタイトルの羅列を思い出すと、目的を追うにはその途方もなさに虚無感もちらほらするのですが、それでもスイス関連で今何冊くらい読んでいるかを調べたら30冊以上の本と出会っているみたいで!
あまり遠くを見ずに、手前を見て地道に続けていきます。
これからも読書をしていて気付くことがあったら、ブログでも書いていきたいです。
それでは次回は、『フルリーナと山の鳥』について書こうと思います。
『ウルスリのすず』の主人公は男の子でしたが、今度は女の子、しかもウルスリの妹になります。
ウルスリにはわくわくして、フルリーナには純真さがありほっこりします。
また次回もどうぞよろしくお願いします。