
こんにちは!海外のホラーやスリラーな映画を見たあと、怖くて外に出るのが嫌になるのですが、いざ外に出ると日本の夜道、場所にもよると思いますが自分の住んでいるところはほどほどに人がいて、スーパーに立ち寄ったりなんかすると、いつもの買い物風景で気が紛れるので、恐怖と日常の落差に困惑もありつつ、いつもの和やな風景をよりありがたく感じるのでした。
さて、今回紹介するのはこちらの化学絵本です。
『かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい1 原子と分子のたのしい実験』
『かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい2 なかよし いじわる 元素の学校と周期表』
『かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい3 化学の大サーカス 技術の歴史』
『かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい4 地球と生命 自然の化学』
『かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい5 化学の未来 資源とエネルギー』
かこ さとし 作 藤島 昭 監修
かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい1 原子と分子のたのしい実験 - 講談社えほん通信|講談社の絵本やイベント、読み聞かせなどの情報サイト
かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい2 なかよし いじわる 元素の学校と周期表 - 講談社えほん通信|講談社の絵本やイベント、読み聞かせなどの情報サイト
かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい3 化学の大サーカス 技術の歴史 - 講談社えほん通信|講談社の絵本やイベント、読み聞かせなどの情報サイト
かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい4 地球と生命 自然の化学 - 講談社えほん通信|講談社の絵本やイベント、読み聞かせなどの情報サイト
かこ さとし 新・絵でみる化学のせかい5 化学の未来 資源とエネルギー - 講談社えほん通信|講談社の絵本やイベント、読み聞かせなどの情報サイト
絵本でありながら子ども向けに留まらず、化学が苦手のまま大人になった自分のような初心者にも刺激的な絵本です。
化学といえば、スイヘーリーベーボクノフネ…と、語呂合わせで原子を覚えた記憶はありますが、原子とは何かという説明はできない状態でした。それがこの絵本を読んだおかげで、原子と分子は説明ができそうです。
以前読んだ、福岡 伸一 著『せいめいのはなし』の影響もあるかもしれません。人間の身体は、外観上では昨日と今日の違いは見分けられないのに、体内では細胞が絶えず活動をしていて、大げさに言えば、常に自分は生まれ変わっている(変わることができる)というイメージを抱きました。そうなると、今の自分は五感で把握できる範囲でしかものを認識していない状態で、しかし実感では捉えられない何かがあるのは確かで、この何かを漠然とですが認識するようになりました。
そこから更なるスパイスを与えてくれたのが、以前紹介した宮沢賢治が地元花巻の農学校の先生をしていたころの生徒の話をまとめた、畑山 博 著 『教師 宮沢賢治のしごと』です。
本文中で、雷が鳴ると作物が実るのはなぜかというのを宮沢賢治が解説するのですが、その話を聞いて率直にワクワクしました。宮沢賢治の生徒への教育指針は、知るよりも分かることを優先し、考える機会を与えるかたちをとっているように思え、ワクワクの芽を育たせるという意味で、今回紹介するかこさとしの絵本も同様の魅力を感じます。
かこさとしの全5巻の化学絵本では、原子の説明から始まり、文明、宇宙と地球、生命、環境資源、しいては未来へと、壮大に話が広がっていきます。
化学はあきらかに人間と深い関わりがあるのに、勉強では苦手だったせいもあり、化学は自分から遠くにある、というよりも、遠ざけてしまっていました。そうした人にとっては、この絵本では例えば原子を擬人化して学校に通わせるなど、本来難しい内容を身近に感じる見せ方にすることで、自分たちの生活に化学が関わっていると認識でき、内容が入ってきやすかったです。5巻目の絵本の最後の結びでは、化学と人との関わりの深さが分かったところで、化学を正しい方法で扱えば、よりよい未来へ向かっていけることを、前向きに捉えることができました。
個人的に、この絵本を読むのと同じくして、カメラの撮影技術の歴史に関する本を読んでいたのですが、併読するタイミングがちょうどよく。まだデジタルカメラが無かったころの写真の現像の仕組みが想像ができずにいたのが、この絵本の3巻目で運よく現像の説明があり、こんにゃく芋からこんにゃくを作った人と同じくらい、化学の力でカメラの印刷技術を開発した人に驚きと感服です。それによくお世話になっているのに仕組みが漠然としか理解していないコピー機(私だけかもですが…)について。印刷時に出る光がどういう役割で、トナーの粉がどのようにして紙に付着するのかこの絵本から知ることができました。
他にも、宇宙から地球の誕生、生命の話で思い浮かぶ絵本というと、バージニア・リー・バートン 文・絵 『せいめいのれきし』が思い浮かびますが、かこさとしの絵本では、原子の情報も書き込まれているおかげで、この大スペクタクルな生命の話をより解像度を上げて読むことができます。
せいめいのれきし 改訂版/バージニア・リー・バートン, いしいももこ, まなべまこと|児童書 - 岩波書店
子どもも大人も、コピー機やガラス、コンクリート、植物、身体の細胞、地球、至るところに関わっている化学を、絵本を通して身近に捉えてみるのはいかがでしょうか。
ではでは、次回もどうぞよろしくお願いします。
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