本はときに、困った状況を打開するために必要とされることがあります。
社会人なりたての頃は敬語の使い方の本を読み、エクセルを初めて使う機会がやってくればエクセルの指南本を読み、人付き合いに躓けば人間関係に関する本を読み…と自分の経験になりますが、困ったときには直接悩みに関係する本を読むことが多かったです。
なので本の探し方となると、タイトルを見て悩みの解決に繋がりそうな本を選んでいましたし、ぴったりと自分の悩みに当てはまるものを見つけるまで手当たり次第本を読むような行動をとっていたように思います。
さてそれで悩みが解決できたかというと、他人の気持ちや生き方など正解が分かり辛いものについては、型を知っても気持ちが伴っていないように感じて、何度も同じ悩みに直面する状況が続いていました。
それがここ数年、児童文学など、悩みとは一見関係ない読書をしている中で、ちょっとずつ心構えに変化を感じるようになりました。
無気力感に対してもう少し粘ってみようとする姿勢や、新しいことにチャレンジ(このブログもそうです)したり、一方的に物事を決めつけないように気を付けたりです。
悩みの正解例が書かれている本と、物語とで何が違うのかを考えたときに、登場人物が直面する問題というのを読みながら一緒に体験していることに意味があるように思えてきました。
最近読んだ『若草物語』では、ジョーが自分の癇癪持ちを母に相談するシーンが自分の性格にも当てはまり、考えさせられました。それに、家が貧乏でも清く明るく暮らす姉妹の姿がまぶしく、読んでいるときには物欲がしゅんと小さくなりました。
そうした何かの悩みや躓きを乗り越えようとする物語の展開があったときに、登場人物に感情移入するほど、実際に物語に近い問題に直面したときに、へこたれづらくなる気がしています。
それと、バファリンのように即席で一時的に効果がある方法がひとつ。それもまた本を開いてみることです。心を悩ますような出来事が頭の中でずっと反芻して何も手を付けられないとき、なんとなく近くにある本を開いて文章を読みはじめてみると、知らず知らずに本に集中することになり、気が付くと悩みがどこかに移動して、頭の中にゆとりが出来た分、すっきりとすることがあります。
内容は何でも良いのですが、悩みと関係ない本の方が気が紛れて良いと思います。2,3ページくらいを読むつもりで、ちょっとで良いです。
ちょっと本を開いてみる、そんなおまじないのお話です。
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