おでん文庫の本棚

大人もこどももみんなで味わう児童文学をご紹介

猫の日に読みたい絵本を考えてみました

 こんにちは!明日といえば、にゃんにゃんにゃん♪の語呂がかわいい猫の日ですね。

 

 みなさんは猫エピソードをお持ちでしょうか。私は実家で猫を飼っているのですがコロナ禍になってから会えておらず、猫の話題を見かけるといつも恋しくなります…。猫を飼い始めたのは私が実家を出た後なので、猫にとって自分は他人です。会ってすぐは警戒されていつもテレビ台の上で監視されます。背筋をまっすぐに伸ばして微動だにせず睨んで来るので、ご飯を食べながらテレビを見ていても、横にいる猫が気になって目が離せません。時間が経つとむこうも警戒態勢を解いてくれるのですが、いつも緊張させてゴメンヨと思っております。むこうが私に慣れてきて一度だけ、おもちゃを咥えて片手をぽんと私の脚に乗せてお願いしてきたことがあり、そのときにかわいいのバロメーターがMAXを越えて爆発しました。ちなみに、父親にはいつもそうやって甘えているそうで羨ましいです。

 

 猫は家で飼ったりもしくは街中で見かけたりと、さまざまいる動物の中でも特に身近に感じます。猫のちょっとした仕草や表情から気持ちや考えを想像するのも楽しいものです。猫には猫の悩みがあるかもしれない。猫にはどんな世界が見えているんだろう。そこで今回は猫が主役で大奮闘する物語を3作品紹介します。

 

 『こねこのぴっち』

 ハンス・フィッシャー 文・絵 石井 桃子 訳

 スイスの作家さんが描く物語で、ハイジで知った自然豊かなスイスの風景を想像しながら読んでいる自分がいました。物語には小屋に暮らすひとりのおばあさんと、犬・にわとり・やぎ・猫とたくさんの動物たちが登場します。そこに暮らす猫の夫婦に5匹の子どもたちが生まれ、その中でも一番のちびっこが本作の主人公のぴっちです。ぴっちは好奇心が旺盛で周りにいる動物たちみたいになろうとマネっこを始めます。そしてひと騒動起こしてしまうのですが、最後は心温まる展開が待っています。物語の良さもさることながら、なんといってもこねこの生まれてすぐの細くて小さい体格をあらわした絵がとてもかわいいです。この軽快でリズミカルな線画は、自分の見ている範囲で海外の作品ではあまり見かけず新鮮に映ります。

www.iwanami.co.jp

 

 『ジェニーとキャットクラブ』

 エスター・アベリル 作・絵 松岡 享子 / 張替 惠子 訳

 メス猫のジェニーは内気で、思ったことを他の猫に話すのが苦手です。そのため、猫の集まりであるキャット・クラブに入りたくてもなかなか一歩が踏み出せません。こういうことは生きているとどこかのタイミングでぶつかることがあるのではないかと思います。引っ込みたくなる気持ちと飛び込んでみようと自分を奮い立たせる2つの感情が物語の山場で迫ってきます。巻が進むごとにジェニーはどんどん成長していき、内気な性格でも勇気を出して一歩踏み出そうとする姿はとても共感出来ます。文字量はそこまで多くなく、大人であれば2,3時間で読み終えると思います。

www.fukuinkan.co.jp

 

 『かねもちのねことびんぼうなねこ』

 バーナード・ウェーバー 文と絵 光吉 夏弥 訳

 アメリカの雑多な街を彷彿とさせる風景に、のらねこのスキャットがぽつんと佇んでいるのが印象的な表紙。よくみると通りを走る車の中にも猫がいます。この物語は見開きのページそれぞれにお金持ちの猫とのらねこを対比させてそれぞれの暮らしを描いています。スキャットは帰る家は無いですが街の人たちに愛されているのが伝わるし、お金持ちの猫の暮らしは窮屈に思うところがあり、自由なのらねこ暮らしも悪くないんじゃないかと思えたところで迎える最後の展開は、人それぞれの意見が出てくるのではないかと思います。私は、金持ちは窮屈なので程ほどの安全と幸せと自由が得られたら嬉しいと考えます。笑

 

 以前記事に書いた『ゆきねこさん』も猫の絵本なのでよろしければご覧ください。

冬ってなんだろう?から始まる猫の物語 - こどもの本棚

 

 前回の記事で富安陽子さんを紹介すると話していたのに猫記事を書いてしまいました。次回は有言実行します!またどうぞよろしくお願いします。